道侶密かに道侶の契りを交わした夜。
我が夫殿は、満足してさっさと実家に帰ってしまわれた。元よりとっくの昔に関係を持った仲である、三拝など今更のことだ。
思い人を射止めたことで満足してたのは己だけで、相手は不安であったらしい。衣を乱すことすら恥ずかしいと目を閉じる男が、一度開けば朝まで離さぬのだから。同じ男としては、同等に求められることは嬉しい限りだったのだが。ただただ不安がゆえのことだった。
とうとう耐えかねた「約束が欲しいのです」という掠れた声。己を中に閉じ込めたままで言われたのだから、堪らない。
さて。
我が父上と、夫の父は親友だ。その弟の藍先生とも昔から親交がある。特に成人もまだの若造が宗主を継いだ当初は、それはもう大変に世話になった。
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