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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    チェズモク800字。ツーカーの二人。

    #チェズモク
    chesmok
    ##BOND

    ■明日を待ちわびて


     モクマは現在、敵アジトに潜伏中だった。腕の立つ用心棒という立ち位置を得てはや数日が経つ。便宜上の『仲間』が「一緒に飲まないか」と誘ってきたが、笑って断った。与えられた個室に戻ると、ベッドに座ってこの数日でかき集めたアジトの内部構造をまとめ、タブレットでチェズレイに送信する。と、同時にタブレットの中に保存した情報を抹消する。
     ――やれやれ、これで明日はチェズレイのもとへ帰れるな。
     そこまで考えてベッドに寝転がると、自分が帰る場所はチェズレイのところになってしまったんだな、なんて今更なことを思う。
     そこでいきなりピコン、と軽い電子音が響いた。寝返りを打って見れば、メッセージアプリにチェズレイからのメッセージが入っている。
    〈無事ですか〉
     ただ一言だが、モクマの脳裏には心配でたまらないといった様子の彼が思い描けた。
    〈大丈夫だよ〉
     そこまで打って送信し、返事を待つ。数分の後にまた通知音が鳴った。
    〈行き先は確認しました。明日のデートが楽しみですね。何時に行けばいいでしょうか?〉
     『行き先』は内部構造図、『デート』は潜入ミッションの隠語だ。事前の打ち合わせがなくてもモクマにはわかった。チェズレイはしばしばこういった芝居じみたやりとりを好む。モクマはそれに合わせて返事する。
    〈十九時。待ち合わせ場所はわかるね?〉
    〈いつもの駅前。ああ、どんな服で行こうか悩みます〉
     そこでモクマはくっと笑いで喉を鳴らす。きっとこの場合の『服』は敵を壊滅させる手段のことだ。いつもの催眠を使うのでいけるだろう。そう考えたモクマはこう返した。
    〈いつものお前さんが一番素敵だ。それで来てくれるかい、お姫様?〉
    〈はい。ではまた明日。あなたに会えるのを楽しみにしています〉
    〈俺もだよ。お前さんが恋しい〉
     そこでモクマはタブレットをスリープモードにして部屋の明かりを消すと、眠りにつくことにした。
     会いたい。恋しい。その言葉だけはお互いに包み隠さない本音だった。
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