Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    高間晴

    @hal483

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 385

    高間晴

    ☆quiet follow

    「文体の舵をとれ」課題

    ##その他

    第一章『自分の文のひびき』問1「一段落~一ページで、声に出して読むための語りの文を書いてみよう」

     ※例:幽霊物語の山場
     ばりばり、ずるずる、ぐちゃぐちゃ。ありとあらゆる粘っこい音が鼓膜にこびりつく。その女が死体のはらわたを裂けた口で貪っている音だ。目から黒いヘドロのような涙を流しながら……。いや、それは涙ではないのかもしれない。怨念が形になって溢れてきたかのような、おどろおどろしい代物だった。あとからあとから流れ出てきて、とどまることを知らない。




    問2「一段落くらいで、動きのある出来事をひとつ描写してみよう」

     ハードケースの煙草からもう慣れた手付きで一本抜き取ると、口にくわえる。キーボードの傍にある使い古したジッポの蓋を開けると、親指でフリント・ホイールを鳴らして煙草に火を移す。煙を胸いっぱいに満たすと同時にジッポの蓋を閉めると、キン、と涼やかな音がした。度々感じることだが、それは喫煙に対する罪悪感を打ち消してくれるのだ。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works

    高間晴

    DONEチェズモクワンライ「お酒」。
    モさんの好きそうなカクテルを作ってくれるチェズの話。
    ■幸せのカクテルレシピ


    「モクマさん、あなたが気に入りそうなカクテルがあるんですが、一緒に飲んでみませんか?」
     夕食が済んで、食洗機に食器を入れながらチェズレイが訊いた。モクマはキッチンの上の棚から晩酌用のどぶろくの瓶を取り出そうとしていたが、それを聞いて顔を輝かせた。瓶を戻し棚を閉めると、夕食の片付けを終えた青年の傍に近寄ってきて、興味津々に訊いてくる。
    「えっ、なにそれ。そんな素敵なものがあるの?」
    「はい。あなたとこうして一緒に暮らすようになってから、私もアルコールに興味が湧きまして。ネットで調べてみたらいいカクテルのレシピを見つけたんですよ」
     チェズレイはキャビネットから、コーヒー豆のキャニスターを取り出す。
    「ん? コーヒー淹れるの?」
    「ええ。これから作るカクテルはコーヒーを使うので」
     チェズレイがまずはケトルに水を入れ、コンロで沸かし始める。その間そわそわした様子でモクマはキッチンのシンクの縁に手をついて、すぐ隣のコンロ前のチェズレイを上目遣いに見つめる。
    「おじさんが気に入るお酒で、コーヒーってことは……カクテルにするお酒はなんかミルクっぽいお酒なの?」
    「さ 2225