メイド坂田と御曹司ショタ杉と触手の後半戦(高銀)カラカラと床に転がるナイフを眺めることしかできなかった。
体がビリビリと痺れて動かない。そんな俺を前に舌なめずりでもするかのように、触手はその先端の穴からトロリとした体液を垂れ流しながら、俺の体に絡みついてくる。
衿元、袖口、スカートのなかと、ソレは服の隙間から侵入して、素肌を這い回る。
「ん……んぐ、ん」
いや、まだ下着の中に触手がいれられただけだ。この程度なら少年誌でも大丈夫だ。
大丈夫……。ぬるぬるした触手に尻を撫で回されたり、アソコをグリグリされるぐらいのことは、ToL△VEる先生だってやっている。
「銀時っ!」
「だからっ!来るんじゃねぇっ!テメェまで捕まったらどうするんだ!」
触手は俺の体を持ち上げると、腰を高く突き上げた姿勢にして、スカートのなかに忍び込んでくる。
スカートの中からグチャグチャと粘ついた音が鳴る。
「銀時……お前、スカートの中いったい」
高杉が青ざめた顔で俺を見る。
高杉はまだ下の毛も生え揃っていないガキだが、俺がナニかをされているということは、分かったようだ。
「あ、待て!そんなところ!高杉にだって触ってもらってないのに……」
思わず腰がガクガクと揺れる。
胸元をまさぐる触手からはビリビリと微弱な電流が流れ、チカチカと視界が瞬く。
その時だった。
「んっああっ!あああっ!」
その衝撃に、思わず声が裏返る。
「銀時っ!」
「だ……あっ、めだっ!んっ!み、未成年はこっちに来るんじゃねぇ!」
「だけどっ」
「んんっあぁ、今、銀さんのスカートのなかR18だけど、見えなければセーフだから!」
「おいコラ!R18ってどういうことだ!」
「ひぐっ、だからこっち来るなって!スカートの中身が見えるまでは……入ってるか入ってないか分からない、シュレディンガーのケツ穴というか……」
「意味分かんねぇこと言ってんじゃねェ!」
「ちょ、待って本当に無理……」
俺は頭を振って見悶える。
スカートのなかからは、ずっとそば打ち職人がそばを打つような音がしている。
いや、パン職人がパンをこねる音かもしれない。とにかくなんか、そんな音だ。
「あれ?てかケツ穴って、性器入ってなかったらセーフなんだっけ?触手って性器じゃないからセーフ?あれ?」
「ハッキリ言いやがれ!」
「ハッキリ言ったら年齢制限つくだろうが!」
言い合いをしている間にも、俺のスカートの中はもうそれはすごいことになっていた。
ヌトヌトのドロドロのグチャグチャである。
おまけに、スカートの中でバチバチという気配がする。
いや、まて、だめだって。
こんな奥までズッボリいれられた状態で電気なんか流されたら……!流されちゃったら……!
「ら、らめえええ!そんにゃ奥まりぇゴリゴリしゃれながら放電されたりゃ、きもひよくて頭がバカになっちゃうのおおおおおお!!!」
「おい!テメェやっぱり!」
「ひぐっ!んっ!ちがうんりやって、ん、ふにゃけんな!み〇くら語使ったかりゃってスケベにゃことになっひぇるとは、限らにゃいだろうが」
「みさくら語ってなんだ!ハキハキしゃべれ!」
ちくしょう、これだから最近の若者は!
いや、み〇くら語知ってる小学生もいやだけど!
ビリビリと体の奥から伝わる刺激に、アヘアヘと舌を出す。
「ちがうって、あにょ、ちょっとマッサージしゃれてるだけだから♡♡リンパ腺マッサージ♡あの、アレを使わないと届かない奥の方まで♡♡押されてるだけだから♡♡♡」
「リンパ腺マッサージってなんだ!そんなことしてる場合じゃねぇだろうが!」
「や♡ほんと、これ、すごい♡♡電気マッサージなんだって♡あ♡そんな、電動ブラシなんてそんな、あっ♡あっ♡気持ちいい♡そんな、すごい♡イボイボまで♡あっそんなところ擦って……♡いん♡♡マッサージ気持ちいいよぉぉぉ♡♡♡」
いや、これマッサージだから。
うん、マッサージだから仕方ないよね。
「んああああ♡♡♡」
マッサージが気持ちよすぎるのと、電流でアソコがバカになったせいか、俺は思わずジヨロジョロと失禁してしまう。
大丈夫大丈夫。
失禁程度じゃ年齢制限つかないって。たぶん。
少年誌もやってたし。
「ちょっと漏らしちゃっただけだから……♡」
「いい大人が何もなく漏らすわけねぇだろうが!」
正論を言いながら、ついに高杉が床から拾い上げたナイフを握ってこっちに駆けてくる。
「なっ!バカ!」
触手が高杉に向かって伸び、その手足に絡みつく。
「ぐっ」
触手はあっという間に高杉の動きを封じると、今度は高杉の服の中に入り込もうとする。
「……おい」
高杉の下半身に触手が触れた瞬間、俺は袖口に仕込んでいたナイフで、触手を切り刻んだ。
ピイイイと触手が悲鳴を上げる。
「ったく、俺だけならともかく、ソイツに手を出すとはぁ、いただけねぇな。児ポ案件はごめんだぜ」
ナイフを振るうたびに、ボトボトと床に肉塊が散らばる。
触手は突然の反撃にパニックに陥ったように傷口から体液を吹き出し、のたうち回りながら、窓から逃げようとする。
「逃がすか!」
「おい!深追いすんな!」
「仕留めたほうがいいだろうが!」
高杉は壁に立てかけてある、自分の身の丈よりも長い『日本刀』を手に取ると、それを引き抜く。
またたきの間に一陣の風が吹く。そして、一瞬にして触手がブロック肉に変わった。
「……本当にガキとは思えねぇエゲツナイ太刀筋」
思わずひくりと喉が鳴る。
小さな体から繰り出される迷いも無駄もないその一線は、もはや美しいといっても過言ではなかった。
幼い高杉が、それでも身を守るために身につけたワザ。
一瞬で生死が決まる抜刀術。
銀時を『落とした』技だ。
「ふん」
高杉はつまらなさそうに鼻を鳴らすと、既にさやに納まっている刀を再び壁に立てかけた。
「おい、なんでこの触手がここにいるんだ」
高杉が不機嫌そうに眉をしかめる。
その目線の先にあるのは、ちゃぶ台の上のみかん箱に入れられた肉塊ーー先程の触手だった。
触手は心臓が生きていれば、また再生する。
「飼いたい」
「だめだ」
にべもなく高杉が却下する。
「でもお前動物飼いたいって言ってたじゃん」
「触手を飼いたいとは一言も言ってねェ」
「いいじゃん、こいつほら。電動マッサージ器にもなるしさ」
「いらねぇ!捨ててこい」
「名前まで決めたんだぜ?なぁ、ミカン」
「明らかに今ミカン箱見ながら決めただろう」
「えー!なぁいいだろ!ちゃんと俺が世話するから。こいつ、飼い主に任務に失敗したら帰ってくるな!って言われてるらしいんだ!可哀想だろ!」
「ダメだ捨ててこい!そんなふしだらなモン飼えるか」
「ふしだら?えーなに、高杉坊ちゃんったらナニを想像したわけ?やだぁ〜へんた〜い!」
「テメェ……よくもヌケヌケと」
頑なな高杉をなだめすかしてキッスして。
ついに根負けした高杉が折れて、2人と1匹の触手の生活が始まるのだが、それはまた別の話である。