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    akanekokinoko

    主にスレミク落書きアカ。
    たまにすごい勢いでR18描きたくなる。

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    akanekokinoko

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    いただいたコメントに刺激されて浮かんだ風景を文章にしてみたもの。
    何気ない日常の一コマ。




    最後の一行、決戦前の時間軸だと思って読むと、少し違った見方ができるかもしれません。

    #スレミク
    sremik.

     ちり、と小さな音がした。
    その音に促されるように目を開けば、ちらちらと踊るように揺れる梢が見える。
     休憩がてら心地良い木陰で寝転んでいたら、そのまま眠ってしまったらしい。暖かい陽気、心地よい風。絶好の昼寝日和なのだから仕方ない。
    ざあっと音がして、木の葉が数枚飛んでいく。
    少し風が出てきたようだ。先程の小さな音は、幹に立てかけておいた儀礼剣の紐の色石が立てた音だったのだろう。
    「スレイ?」
    風のようにそっと呼ばれ、スレイは声の主を見上げて微笑んだ。
    「あ、おはよ、ミクリオ」
    「おはようって、昼寝してたのに」
     呆れたように言って、ミクリオは立ち上がる。
    華奢な手が差し出され、その手を握って立ち上がれば、ミクリオがくすりと笑って手を伸べた。
    「髪。葉っぱがついてる」
    「え、うそ、どこ?」
    「じっとして」
    細い指が耳を掠め、髪に絡まった葉を掬う。ミクリオはそれをくるりと一度指で回して、柔らかく吹いた風に手を離した。
     ふわり、と舞った葉と揺れた浅葱色の服、木漏れ日を受けてきらきらと輝く銀青色の髪。
    現実離れした美しさ。それはまるで――青い青い空に、溶けて行こうとしているように思えて。
    「じゃあ、行こうか」
    言って、背を向けたミクリオを、スレイは思わず後ろから抱きしめた。
    「っ、スレイ?」
    驚いたような声が聞こえるけれど、スレイはますます腕に力を込める。
     空に溶けていきそうなほど儚く美しく、抱き締めたその身体は華奢で。けれど、しなやかで逞しい。
    暖かい体温と力強い鼓動。確かに、この腕の中に存在している。
     それを確かめて、スレイはミクリオの首筋に頬を寄せた。
    「…ごめん。なんか、ミクリオが綺麗すぎて、空に溶けちゃいそうな気がした」
    「なんだよそれ。今日はやけに詩人だな」
    揶揄うような声音でくすくすと笑い、微かに胸の重みが増える。こうやって甘えるように体重をかけてくれると、愛しさが増してもっと強く抱き締めたくなってしまう。
    やりすぎると「苦しい」と苦情をもらうか、見事な肘鉄をいただくことになるのだが。
    「だって、ミクリオがすごくきれいで」
    素直に言えば、ミクリオがちょっと息を呑んだ。
    「ひょっとして、まだ寝惚けてるのか?」
    「ちゃんと起きてるって!」
    言って腕の力を強めてやれば、今度は声を上げて笑う。照れ隠しもあるのだろう。その声が心地良い。
     ――だいじょうぶ。ミクリオはここにいる。夢でも幻でもなくて、ここに。
    「…ミクリオ。消えちゃ嫌だよ」
    あまりにも、今が幸せだから。だから、あまりにも綺麗なこの恋人が、お伽噺みたいに消えてしまうのが怖いから。
    「消えるわけないだろう」
    呆れたように言って、けれど身体の前に回した腕に、慰めるようにそっと手が触れる。
    いつだって、ミクリオは優しい。意地っ張りで負けず嫌いだけれど、とても…とても優しい。
    「――…君こそ、どこにも行くなよ」
    ぽつりと、風に紛れてしまいそうな声で、ミクリオが呟いた。
     ざあ、と風が吹く。
    少し身体を竦めたミクリオの肩に顔を埋めて、スレイは小さく微笑んで目を閉じた。
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