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    まろんじ

    主に作業進捗を上げるところ 今は典鬼が多い

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    まろんじ

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    星の声21

    ##宇奈七

    次の依頼を受けたときのことだ。やはり彼女は、ホテル宛てに電話をかけて来た。どうも、公衆電話からかけているらしく、彼女の連絡先は分からないままだった。
    死体を処理して、依頼を終えた後、俺は荷物を全てまとめて彼女から指定された場所へ赴いた。
    「あら……随分、大荷物ですのね」
     ──七緒は、今も持っているだろうか。俺が、いつも部屋に置いていたあの緑色の大きなトランクだよ。お前が世界を見に歩くときにあげようと言っていたものだ。それを、俺は昔から国と国とを移動するときに使っていた。彼女は、それを見てやや目を瞠って言ったのだ。
    「どこかへいらっしゃるの? ……もしかして、日本を発たれるのかしら?」
     彼女は笑顔を張り付けたまま、怯えた子どものように瞳を揺らしていた。いいや、と俺は首を横に振った。
    「お前……ベイバロン。普段、どこへ住んでいるんだ?」
     彼女は、きょとんと瞬きをした。
    「依頼の都度、いちいちお前に呼ばれるのは面倒だからな。──ちょうど、日本で受けていた仕事が全て終わったんだ。今回の報酬は受け取らない。代わりに、俺をお前専属の人殺しにしろ」
     彼女はしばらく、ぱちぱちと目を瞬いていたが、やがていつものように顔中に花を咲かせた。
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