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    niku9September

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    niku9September

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    ラギー×レオイデの娘 で何故か突発妄想。本当に何故…。多忙なレオイデの子の子守りにラギー駆り出されてそうだな、とか、手際よく家事をする彼に娘ちゃん憧れちゃいそうだな、とか、将来ラギーのお嫁さんになるとか言い出しそうだな…と思ったらつい…。勢い書きの推敲ナシならくがきゆえふわっとお読みくださいm(_ _)m

    自宅内各所、見守りを兼ね監視カメラ完備です「ラギーのおててはまるで魔法のおててね」
    白い皮で半月型に包まれた餡が次々とトレイに並んで行く様を飽くことなく眺めながら少女が嘆息するようにそうこぼす。見つめるその瞳は蜂蜜を溶かした満月の色だ。
    「まるで……っつーか、これでも正真正銘の魔法士なんスけどね」
    ハハ、とどこか乾いた笑いが浮かんでしまうのは彼女の両親には遠く及ばない自覚故。入学できたという、その事実だけで立派なステータスになってしまう名門校で落第することなく卒業できたことは素直に誇ってよいはずなのだが、世界中から優秀な人材が集まる学園にあって卒業後の今も燦然と輝く成績を残し名を刻んだ彼らとは比較すべくもない。決して凡庸な己を卑下したわけではなく、冷静な分析による評価だ。優秀な彼らは誉れと同じだけ――もしかしたらそれ以上に――悪名を轟かせもしていたので実質プラマイゼロでしょ、などと思っているわけではない。断じて。
    優秀な彼らは卒業後の今もそれはもう多忙を極めた生活を送っており、ラギーがこうして留守番兼シッターとして招かれることも一度や二度ではなかった。この小さなレディにはともすれば彼女の両親より関わっている時間は長いかもしれず、まだ幼かった彼女が「パパ」よりも早く「らぎー」と発語したときには危うく彼女の父親から砂にされかけたほどだ。
    「それに魔法で言えばキミのご両親の方がよっぽどスゴいことやってるでしょ」
    事実、この家のほとんどの事は魔法と魔法を元にした魔導技術で成り立っている。炊事洗濯掃除といった家事全般から予定管理や健康管理、果ては来客の応対まで都度人の手が入る事なく完結してしまう。
    「そんなフツーのこと、全然スゴくないよ。こーんな素敵な料理を自分で作っちゃえるラギーの方がずっとスゴい!」
    美味し♪と先ほど揚がったばかりの真っ白な煎餅をお行儀悪くつまむ手をペシリとやりながら、その「フツー」に詰め込まれた最先端の技術の粋とその価値を思いラギーはため息をついた。
    ヒトが「普通」に行うことを魔法や魔導技術で代替することは簡単なようでいて実は難しい。労力をかけた割に特別ななにかを得られるわけではないので実現に本気で取り組む研究者や魔法士は多くないのだ。
    手間隙かけている間に自分でやった方が早い。
    そこに割く魔力があるなら別のことに使う。
    多くの人が導くそんな結論を飛びこえてその先へ行ってしまえるのはよほどの変人くらいと言えなくもないだろう。そして彼らは確実に間違いなく変人の部類に入る。
    「まぁねぇ……自動掃除自動炊飯はともかく、フロまで全自動ってのはどうかと思いますけど」
    「おじーちゃんちもそうだよ?」
    「うへぇ」
    彼女のいう「おじーちゃんち」とはラギーもよく知る夕焼けの草原の方ではなく、地図には存在しない嘆きの島在住の「おじーちゃん」宅を指すのだろう。番には滅法甘いラギーの元ボスが、これだけはいただけねぇと専用シャワー室でごくごく一般的な入浴方法を取っていることをラギーは知っている。
    「さすがに手洗いのがいいんじゃないかと思うんスけどねぇ」
    効率を求めるばかりでなくゆっくりじっくり時間をかけて磨き上げる楽しみというものもあると思うのだ。
    「ラギーはそっちが好き?」
    「うーん、まあ、そうッスかね」
    全自動洗浄くらいでこの愛らしいレディの美しさも可愛らしさも損なわれるものではないとは思うものの、手をかければかけただけ輝きを増すだろうことは間違いない。彼女がそうなる頃にはきっと自分などには手の届かない存在になっているのだろうなと、百個目の成果物を並べながらラギーはぼんやりと考えた。そしてぼんやりしていたがゆえに、次に飛び出した突拍子もない提案に反応するのが遅れてしまったのは痛恨だった。
    「わかった。じゃああたしも今日からそうするわ。だからお手伝いしてもらえると嬉しいのだけど」
    「?」
    「毎日となると来てもらうのも大変だからお部屋がいるわね。客間をひとつラギーのお部屋にしましょ」
    「は?いやいや、ダメっしょ」
    「何故?お部屋ならまだたくさんあるわ」
    「そっちじゃなくて!」
    学齢期に達する前のまだ幼児と言って差し支えない子どもとはいえ、いや、だからこそ、入浴の介助だなんて問題がありすぎてできたものではない。
    「だって、ラギーはあたしの裸なんて見慣れているし身体の隅々までしりつくしているでしょう?」
    「言い方っ!そりゃキミが小さい頃はお風呂入れたげたこともあるしオムツの交換もしましたけども……それはそれ!大体、キミも自分はもう立派なレディだって常々言ってるじゃないっすか!オレみたいなの捕まえてからかっちゃダメっすよ」
    するとレディは大きな目をこぼれ落ちそうなほど大きく見開いてことりと首を傾けとんでもないことを言ってのける。
    「ラギーはあたしの王子様で将来のダンナ様なのよ。どこに問題が?」
    「――ッッ!ありまくりっつーか、なんつーか」
    王子様はキミのお父上だし年齢どころかそもそも身分が違いすぎるしでもうどこからツッコめばよいものかと粉のついた手で文字通り頭を抱えてしまったラギーは、とにもかくにもここに彼女の両親が居合わせなくて命拾いしたと冷や汗をかきながら胸を撫で下ろすのだった。
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