自由 ーコムラン・ビームソングに寄せてー[1.ラーマ・ラージュの章]
眠らなければと思っているうちに夜が明けた。普段なら夜通し本を読んで、またやってしまったとコーヒーでも入れるところだ。けれど今日は鉛を飲んだように身体が重い。このままベッドの奥底へ沈み込んでしまいそうで、むしろそうであればいいのにと思う。私の知らないうちに、"アレ"が終わってしまえばどれほど救われるだろう。
自分らしくもない考えに力なく笑いが漏れる。
何をしている、ラーマ・ラージュ。いつものことだ。ただやるべきことをやれ。
制服に身を包んで自分を覆い隠す。デリーに来て以来15年、これが私の日常だ。自由を求める1万の民衆を叩きのめし、手助けすべき部族の青年を拷問し、白人の犬に成り下がってきた。約束を果たすために今日も同じことをするだけじゃないか。そうでなくて自由を手にできるものか。
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