愛しのchild朝起きてすぐ、右隣で眠る夫の後頭部が見えた。枕元の目覚まし時計を見れば午前8時。明日は休みだからと、昨晩夫と戯れ過ぎたか。
鈍い痛みを訴えてくる腰を庇いながら上体を起こす。そのまま右の方に目線を向けて夫を見下ろした、はずだった。
「……ダンダ?」
隣で眠っていたのは夫ではなく子供だった。年は10か11かそこらだろうか。だが子供が着ている服は、間違いなく夫が昨日の夜に纏っていた緑色の寝巻きだ。
思わず漏らした声で目が覚めたのか、子供の目がゆっくりと開かれた。どこかで見たような色合いの、色素の薄い瞳がこちらを捉える。
その目をまん丸に見開いてすぐ、子供はベッドから飛び起き壁際まで後ずさった。
「……え、だ、誰ですか」
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