チョコレートを渡す「どうぞ。檀先生」
二代目の特務司書は司書室にて檀一雄にバレンタインのチョコレートを渡した。
「俺だけ箱が違うな」
「恋人だし。文豪用チョコレートも渡してあるけれども」
檀としては彼女が特務司書だが、彼女は元々は帝国図書館から司書補佐としてやって来ていて、先代となってしまった特務司書の後を継いでいた。
先代は女性で恋仲になった文豪がいたのだが事故で二人は死んでしまっている。
あれから数年の時が過ぎていて、先代の話題はほぼのぼらなくなっていた。
文豪用のチョコレートは二月十四日に文豪たちに配られるチョコレートだ。人数が多いため均一のものが配られる。ホワイトデーには返してくれとのことだ。
檀に渡された箱はとても豪華なものだ。ラッピングからして丁寧で凝っている。
「私の好きなチョコレートのバレンタインバージョン。良く買っているものだけど」
「司書の好きなチョコレートか」
バレンタインは手作りもあるが、売られるチョコレート菓子やお菓子、関連商品も気合が入る。
デパートの催事場ではチョコレート展もやるのだ。
チョコレート展でチョコレートは買ってきた。自分の分のチョコレートを二代目の司書が買うに買っておいたが、檀の分もしっかりと買っている。
「作るのはそんなにうまくはないし買ったほうがいいし、美味しいし」
「司書がくれたってのが嬉しいんだよ。手作りにはこだわらないからな。固執するもんじゃねえからな」
貰えると、選んでくれたということが大事なのだ。檀は彼女だからチョコレートの箱を受け取る。
「仕事が終わったら連休が待っているわ」
「キャンプとかどうだ。付き合ってくれるか」
「付き合いたいわ。分からないことをいろいろと教えてくれる?」
「楽しもうぜ」
連休の話をしたら檀がキャンプに誘ってくれた。分からないことだらけだが教えてくれるだろうとなる。
檀が司書を抱きしめてきた。司書も抱きしめ返す。バレンタインは、幸せに過ごせていた。