「雨彦、今日は楽しんでいただけましたか?」
そう尋ねるクリス自身がニコニコとご機嫌な様子なのを見て、雨彦はふっと微笑んだ。
「ああ、楽しかったよ」
「それは良かったです!」
「古論が準備を頑張ってくれたんだろう?ありがとうな」
雨彦の誕生日を祝うため、クリスがそれはもう奔走していたらしい、というのは先ほど想楽から聞いた話だ。
事務所でのパーティーに、二人からのプレゼント。誕生日恒例ともいえるそれらが、この年になっても嬉しいと感じるようになるとは、アイドルになる前の自分は思っていなかった。
パーティーは盛り上がり、もういい時間だ。プロデューサーは想楽を送りに出てしまい、居合わせた仲間たちも片づけが一段落すると順に帰路についていった。
1276