天然の地雷がある場所へ。
第15話
〜大地の恵みを乗り越えて〜
どうしたものか。
何を間違えたか、文化祭の発表で使う布を倉庫にしまった覚えがある。
校舎は絶賛工事の真っ最中。倉庫からいつにも増して遠く、さらに別の問題も浮上した。
「この時期の倉庫周辺に行くなら覚悟して下さい。」
目的地は体育館裏の倉庫。
教員達にも忘れがちな場所のため、文化祭や体育祭以外で訪れる者はいないという。仮校舎からここまで大体200メートルはある。重い荷物を持ちながらこの距離を往復するため苦労から避けられない。
その時最も苦労するのは銀杏の林を通らなければならないことだ。今年は特に豊作らしい。
「先っ生…、こ…っの鍵合ってます…か?」
強烈な銀杏特有の悪臭を耐えて何度も何度も何度も何度も往復できるはずがない。だのに、鍵を間違えてしまった。
「うっわ倉庫の中も臭いんだけど!」
全く使われない倉庫の臭さが精神苦痛に拍車をかける。グチャパンマンにも限界がきていた。
「…うっ!しまったっ…」
最後の最後で大量の銀杏を盛大に踏み潰し、二度と行かぬと誓うのであった。