結婚記念日を忘れた男 気付いた瞬間、冷や汗が流れた。
そうか、今日は記念日だったか。
普段なら洗濯物が干せないと嘆く雨なのに上機嫌なのも、昼間の少し豪華だったデザートも、いつにも増してピッタリ寄り添ってくるのも記念日だったからか。
誕生日、ではない。こいつは11月で、オレは明日のはずだ。……適当に決めた誕生日でも律儀に祝い続けるこいつのせいですっかり覚えちまったな。だがそれでも今日がなんの記念日か思い出せないというのなら、おそらく去年も忘れている。それなのに何も言ってこないのはなぜだ……?というかなんの記念日だ……?
記憶を巡らせても、思い出すのは誕生日だと言ってでかいケーキを用意されたことや、子供等がきゃーきゃー騒ぎながらまとわりついていたことくらい。去年のこの日も、誕生日の騒ぎに埋もれてなかなか思い出せない。
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