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    むくらーるちん

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    むくらーるちん

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    ちょぎぶし脱出。


    セッしないと出られない部屋からの脱出。

    「ここは何処だ?」


    そう呟いた山姥切長義と隣に立つ山伏国広は先程まで二振で遠征に出掛けていた。いつもの手順通りに本丸へと帰還したはずが、気付くとこの見覚えの無い部屋に居た。敵の罠かと思い警戒しながら辺りを見回すと部屋の真ん中には薄暗い下品なピンクの照明に照らされ、大きめの洋風な寝具が置かれている。一面ガラス張りの壁の奥にはどうやら風呂場があるようだ。山伏は全くピンと来ないようだが山姥切は現代の連れ込み宿に酷似していると分かり顔を顰めた。敵が攻め込んでくるのではないかと二振はしばらくの間臨戦態勢のままでいたが、どうやら誰も来ないとわかり刀を鞘に納めた。


    「敵の罠にしては妙だね。」


    「確かに、相手はいとも容易く拙僧達を生け捕りにする手練れ…わざわざこのようなまどろっこしい事をせずともさっさと息の根を止めれば済むであろうに何故このような部屋に閉じ込めたのか…さっぱり見当がつかぬのである。」


    二振が頭を抱えていると、壁に文字が書かれている事に気付いた。


    『s●xしないと出られない部屋。』



    「ぐぬぬ、なんとも珍妙な記号であるな…」


    「きっと外来語だよ。でも残念ながら俺も読めない……どうしたものかな。」


    「だが、何かしらをすれば出られるのであるな。よしっ!山姥切殿、手当たり次第に試してみようぞ!!」


    「そうだね。俺と山伏くんの二振を閉じ込めたという事は、多分書かれている指令は二人じゃないと出来ない事なのだろう…やってみよう。」



    こうして二振は肩車やら腕相撲やら膝枕やら二人でやる事を思いつく限り行っていった。しかし一向に扉は開かない。


    「駄目だね…」


    「むぅ…難題であるな。」






    ふと山姥切が一つの可能性に気づいた。



    「……殺し合えって事かもしれない。」


    「………。」


    山姥切の発言に山伏の顔が強張った。


    「だったら山伏くんが生き残るべきだ。君の方が錬度が高い、山伏くんならこの部屋から出て生きて帰れる確率はグンと上がる。さぁ、俺を斬ってくれ」


    そう言って山姥切は躊躇なく首筋を差し出す。


    「断る!拙僧と山姥切殿の二振で無事に本丸に帰還するのである!」


    山伏は命を簡単に捨てようとする山姥切を言葉で斬りふせた。大切な仲間だからという気持ちもあるが、山伏は山姥切に懸想をしている。本人はこの恋慕に自覚は無いが、その想いも相まって余計に山姥切に手をかける事ができないのだった。


    「山姥切殿、そう急がずとも異変を感じた本丸の仲間が助けに来るやもしれん。もうしばらく待機して様子を見ても宜しいのではあるまいか?」




    「…わかった。山伏くんが言うのならそうしよう。」






    こうして山伏と山姥切はこの奇妙な部屋に腰を落ち着ける事になった。
    体力を温存しようと山姥切は寝具に横になり、山伏は手の親指二本で身体を支えて座禅を組み、瞑想を始めた。



    そのまま長い時間が二振の間を通り過ぎていった……





    「もう…やるしか無いようだ。山伏くん、頼むから俺を斬って欲しい。」


    痺れを切らした山姥切が山伏に懇願した。


    「拙僧には出来ぬ。」


    山伏の態度は頑なだった。それも当然だろう愛する人を殺すなど誰もやりたくはない。


    「どちらかが死ななければいけないのであれば、山姥切殿が拙僧を殺してくれまいか?それであれば構わない。」


    「駄目だ…それでは意味がない。」


    「大丈夫である。山姥切殿は拙僧よりも強いお方だ。絶対に生きて本丸まで辿り着けよう。さぁ、早く拙僧を斬るのである。」


    今度は山伏が首を差し出した。覚悟を決め、目を閉じた山伏だが山姥切が動く気配は無かった。



    「出来るわけないだろ……。」


    山姥切の今にも泣きそうな声に、山伏はハッと顔をあげる…


    山姥切の顔を見ると、その目に涙が浮かんでいた。山姥切がここまで仲間思いの男であったのかと山伏は面を食らった。


    「俺は山伏くんに生きていて欲しいんだ……それに……俺はもう山伏くんのいない世界では生きていけそうに無い……お願いだから俺を斬って本丸に帰ってくれ。」


    そのまま泣き崩れてしまった山姥切を山伏は抱きすくめた。そして山姥切の一世一代の告白に山伏は己が山姥切に抱いている感情の正体を知り、同時に山伏の闘志へメラメラと熱い火を点けた。


    「どちらかが死ぬなどやはり間違っている。絶対に二振で帰るのである!ぬおおおおお!!」



    山伏は勢いよく壁を押し続けた…すると壁に亀裂が入りはじめる。長い時間の瞑想のおかげで霊力が溜まっていたのだろう、その部屋を操る霊力以上の力を発揮し壁に穴を開ける事に成功した。


    「カカカ!これで出られるのであるぞ!」


    満面の笑みで山伏は山姥切に笑いかける。


    「やっぱり山伏くんには敵わないな。」


    先程まで泣いていた山姥切も笑った。


    「外に敵がいるやもしれぬ。気を引き締めていこうぞ。」


    「あぁ、わかっているよ。」


    二振は覚悟を決め、穴へと踏み出していった。











    二振が部屋から出ると、そこは自分達の本丸であった。


    「お帰り兄弟、えっ…時間?いつも通りだけど……どうかしたの?」


    本丸に変わりはなく、二振は狐につままれた様な気持ちになった。

    事情を審神者に話すとどうやら敵の罠でなく転送装置のバグ…というか政府のストレスが溜まり過ぎた職員のイタズラというか趣味というか……と歯切れの悪い返答が帰ってきた。



    「全く酔狂な変態がいたもんだ…危うく死ぬ所だった。」


    山姥切がプンスカと怒る。


    「うむ、拙僧は修行が足りなかったのである。二度とあの様な部屋に閉じ込められぬように念入りに鍛錬を積まねば……それに」


    「それに?」


    「拙僧が散ると生きていけないと仰る方がいるのでな……更に強くならねば!カカカカ」


    「な…それはもう忘れてくれ!!」


    山姥切は顔を真っ赤にして山伏の背中をボスボスと叩いた。


    「カカカカ、拙僧も山姥切殿がいないと生きていかれぬのである。お互い様だ。」


    「えっ……それって…」



    「さぁ!修行であるぞ!」



    「待ってくれ山伏くん!その話詳しく教えてくれないか……」



    カカカと笑いながら滝に向かう山伏を山姥切は期待に満ちた嬉しそうな顔で追いかけた。
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    むくらーるちん

    CAN’T MAKE虎杖くんと先に会う順平くんの筋書き的なナニカ
    誰か同人誌にしてくんなまし

    順平くん家がアニメでも原作でも一軒家なのかアパートなのかわかんないので妄想で書きました。
    (虎杖くんとの初対面の際の背景にマンションっぽい建物が無かったのでマンションは除外しました。)
    真人ルートを回避して虎杖くんルートだ!!昼間の映画館に行く順平くん、目の前で最悪クラスメイトがまひまひにグニィされる。まひまひの事は見えているが、このルートの順平くんはやべーって逃げる。絶対追いかけない。

    なんてものを見たんだろ…数日間頭の中を惨劇がぐるぐるする…あの映画館はしばらく行けないなぁとか考えながら外を歩いてると家の前にワガママボディの担任のてんてぇが居た。内心おあーーーってなりながらクラスメイトがタヒった報告を受ける順平くん。本当にタヒんでたんだ…とあの映画館の出来事が現実味を帯びて背中に嫌な物を感じる。すると例のお尻顔天使と虎杖くんが飛び出してくる。その後は真人ルートとほぼ同じ展開で河川敷に行く。真人ルートの高専の生徒が〜の説明が無いので警戒心がかなり高い順平くんだったが、ミミズ人間の話ですっかり打ち解ける。凪さんが合流→晩御飯→映画の流れに行く。後日映画を観に行く約束をして解散、凪さんは無事。約束通りに虎杖くんと映画に行く順平くん、映画が始まるまで時間があるので館内のソファで談笑する。映画館でポップコーン食べる食べない議論等くだらない話をしていると順平くんがチケットを落としてしまい、虎杖くんが拾う。拾う瞬間に虎杖くんが順平くんの顔の傷に気付く、「その傷…どうしたんだよ」と真剣な顔で聞く虎杖くんに、順平くんはオデコを抑えて「なんでもないよ…」と顔を逸らすが「そんな酷い傷がなんでもない訳ないだろ……友達なんだしさ…全部話してよ。」 少し迷う順平くん、そんな順平くんの心に寄り添うように優しく順平くんの手を握る虎杖くん。「俺、順平の力になりたいんだ。」虎杖くんなら信用できる…そう思って順平くんは虎杖くんに全ての出来事を話した。まるで自分に起こった事のように悲痛な顔をして黙って聞いている虎杖くん。虎杖くんに話す事で心が軽くなっていく順平くん…真人ルートと違い呪術師としての能力は無いので高専に来いよは発動しませんが、まだ達観歯車覚悟ガンギマリ前の元ヤンホヤホヤの虎杖くんなので「そのクソみたいな奴、俺がぶっ飛ばしてやる」が発動する。その言葉に救われる順平くん、勿論「ありがとう、でも虎杖くんはあんな屑となんか関わらなくていいよ。学校の事は母さんと話をしてなんとかするから大丈夫」と虎杖くん大暴れは止める。順平くんは自分の理解者が出来て嬉しくて感極まってしまい、涙が出そうになったのを隠すためトイレに行く。ト
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