手紙(後編) 煉獄の母に促され、大きな門をくぐる。大きな庭にある木々は美しく剪定され、手入れが隅々まで行き届いているのが一目瞭然だ。
「すげぇ、鯉とかいそう」
「中庭の池にいます! あとで見ますか?」
こいつ、本当に純粋培養のお坊ちゃんじゃねぇか。冗談半分で言ったのに、当然のように返され、思わず苦笑いが漏れる。じゃり、じゃり、と小気味のよい音を立てながら光沢のある黒と白の砂利を踏みしめ歩いていると、がらりと目の前の戸が開け放たれた。
「あにうえ! おかえりなさい!」
「ぉわ!?」
突然金色のもこもこしたものが飛び出してきたかと思うと、足元に飛び付いてきて、すっとんきょうな声が出た。
「ははは! 千寿郎、兄はここだ! そっちは宇髄先輩だぞ?」
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