Recent Search
    Create an account to secretly follow the author.
    Sign Up, Sign In

    秘みつ。

    @himi210

    @himi210 小説 / 毎日更新12:00〜21:00 / 凪茨右茨ジひジ▼感想質問お気軽に📩 http://bit.ly/3zs7fJw##ポイピクonly はpixiv未掲載ポイピク掲載のみの作品▼R18=18歳以下閲覧禁止▼##全年齢 for all ages▼連載一覧http://hi.mi210.com/ser▼連載後はpixivにまとめ掲載http://pixiv.me/mi2maru▼注意http://hi.mi210.com/guide▼フォロ限についてhttps://poipiku.com/19457/8988325.html

    ☆quiet follow Send AirSkeb request Yell with Emoji 🍫 🍮 🍓 ☀
    POIPOI 1208

    秘みつ。

    ☆quiet follow

    Eden茨▼愛がなければ生きていけない世界で欠乏してる茨とその周りの話
    リクエストありがとうございました

    凪茨リク企画http://hi.mi210.com/718_22

    ##凪茨
    ##全年齢
    ##ひよ茨
    ##ジュン茨

    愛ある世界 ラヴドは献血と同じで、貯めておくことはできなかった。それは血と同じように人間の体を健康に保つためには必須の栄養素で、特に幼少期に多量に摂取しなければならない。ラヴドは愛されることによって補給できる。成長するにつけ、その量は少なくとも生きられるようになるが、無償の愛を寿ぐ両親がいなかった茨は、十七になっても多量の愛が必要だった。なぜだかそれを茨は隠して平気な顔をしているが、常にラヴドが枯渇している茨は、時折倒れてこうなってしまう。
    「……あなた、本当に愛の受け取り方が下手ですね」
    「……うるさい……」
     倒れた茨をわたくしは、赤子にするように抱きしめてあげていた。プライドの高い茨は、他人に弱さを見せられない。愛は気を許した相手からではないと受け取れない。だからしょうがなく、茨は、わたくしなんかに頼み込む。
     愛を受け取れない不器用な茨。
     はやくほんとうの、愛をくれる家族を、見つけられたらいいとひそやかに願う。
     それはきっと茨にとって、否定しなければいけない理想なんだろうけれど。

     ***

     天候不順によってEdenの地方ロケは数日伸びることになった。ホテルに缶詰めだ。私や日和くんはお泊りが増えたようで喜んでいたが、茨は難しい顔をしていた。
     ホテルのスタジオで、ダンスレッスンをする。もうすぐミニライブがあるからそのための確認だ。さあさあと外の雨の音の中、私たちはいつも通り習練を積んでいった。このあとは何もないから、みんなでホテルのゲームコーナーにいきたいな、とジュンと話していた。あれはなかなかチープでいい。
     そのとき。
    「茨? 茨!」
     後方にいたジュンが叫んだ。振り返ると、茨がばたりと倒れこんでいた。

     ***

     愛が枯渇しています、と医師に診断される。
     確かに顔色が悪くて力のないところを見ると、ラヴドが相当足りないのだろう。疑似愛人形を胸に置かれて、茨は病室に横たわる。
    「……茨、無理してたんだね」
    「い、え……平気、です……」
    「いままでどうしてたんすか?」
    「ゆづ、るに……」
     弓弦くんだけしか頼る人がいなければ、こうして物理的に離れてしまえば供給はされなくなる。今まで気づいてあげられなかった。茨の愛。その枯渇を。
     黙っていた日和くんが、ぐい、と茨を抱き上げる。
    「ほら、ぼくの背に手を回して。愛の形をとって。気を許すね、茨」
    「だっ、て、……で、んか、は……お、おれのこと、き、らい……」
    「きらいだね、こんなこと隠しておいて、倒れちゃう茨なんて。ぼくたちは家族なんだから、愛だってたくさんあげられるね」
    「……でん、か……、くる、し……」
    「ぎゅって強く抱きしめれば、愛はたくさん注入できるね。おまじない」
     疑似愛人形は落ちて、今、確かに日和くんからの愛が注がれている。それは人形にはできないくらいの、新鮮で芳醇な愛だ。
    「……私も、愛をあげる」
    「オレも」
    「あ、う……」
     茨のにおい。あたたかな体温。それを私たち三人で抱きしめて、愛してあげる。
     茨の愛欠乏がだんだん解消していって、顔色もずいぶんよくなっていくのがわかった。
    「茨、ぼくたちの愛を受け取ってね。これからも、その先も。きみが始めたEdenなんだから、きみからぼくたちは離れていかないからね。もっと気を許して、たくさん愛を受け取れる管を太くするね。そうしたらこんなに欠乏することはないから」
    「……うん。大丈夫、私たち、そばにいるよ」
    「水臭ぇっすよ、茨。頼ってくださいねぇ、あんたは一番年下……♪」
    「……三カ月しか違わないだろ……」
    「ふふ」
     満たされていく茨が、ちいさく、やわらかくわらう。私はそれを見つめて、そっと薔薇色を撫でた。

     ***

     安静のために寝かせられた病室で、夕暮れの音がして俺は目を覚ました。すっかり眠ってしまった。そうして起き上がれば、たっぷりとラヴドに満ち満ちた体を感じることができる。――こんな感覚は初めてで、ああ、愛を持っている普通の人々は、こんな美しい世界に生きていたのか、と、ぼんやりと終わりを告げる空を見ながらそれを受け入れてしまう。
     これを知ってしまって――知らしめされて、愛がない世界へ戻るのが、少しだけ怖くなってしまった。
     愛されたい、なんて、いえない。
     それでも、それを求めていた、体が。
    「……どうしましょうね、ほんと……」
     明日は退院して、一番に皆のところへ謝辞の挨拶をしよう。そうして――今まで通りで、と、いうのだ。それは受け入れられないかもしれない、そうしたら謝礼の代わりに愛を受け取るようなシステムを導入して――。
     愛に満ちている体が、万が一の未来を見せる。あの人たちに毎日愛されて、幸福でいる未来を。
     俺はため息をついてベッドに潜る。
     そんなこと、期待してはいけないのだ。
     この世の地獄が自分の天国なのだから。

    Request
    誰かからの愛がないと生きていけない世界観で、茨は愛の受け取り方が下手くそで不器用なので、いつも枯渇気味。今までは弓弦から多少の愛は受け取っていたので、自分で動けない程へなへな状態の茨をEdenのメンバーは見たことがなくて。手探りに茨を愛していってほしい。その間で、茨が愛の受け取り方が下手くそで不器用なことを知って、凪砂を中心に愛して育て直してくれたら嬉しい。

    (220916)
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💖💖😭👏😭😭💘👏💘❤💖💖
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works