そのままで。「お待たせ致しました……典韋殿」
「ん、お……おう……」
声がした方へ目線を下げれば、走って乱れた深藍色のスカートを制服の襟と共に整えている。
「別に急がなくていいぜ、待ってるだろ」
「何事も、迅速対応が肝要です」
「……そっか、ありがとな」
冷静な青藍の瞳に見つめられちまうと、どうも胸が騒つく。
「此方こそ、何時もありがとうございます……宜しいのですか」
「ん、別に構わねぇよ……わしが勝手に待ってるだけだ」
「そうですか……申し訳無いのですが、此方としては心強いです」
無造作に首先まで切った髪、頭も良いことが解る口調で余計なことは喋らねぇ。教室でも髪型だの化粧だの煩く会話するのが女子ってもんだろうと思っていたが、こいつは制服以外全く違う。今迄見たことねぇもんだから、目が離せない。放っておけない理由は、他にもあるんだけどよ。
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