抗う者達⑧ 眠れない時間は、誰もがロクでもないことを考えるものだ。
──もし志海が見つからなくても本当に大丈夫なのか。
口では大丈夫だと答えはしたが……正直なところ、八木山自身にも分からなかった。
だが三人の命を危険にさらし続けるのも不本意で、もし何かあれば睡眠どころの話ではなくなるのは火を見るより明らか。自分のせいで死なせてしまうなんてことになったら、その後悔は間違いなく己を殺すだろう。
そんな八木山にとって、えべたんの提案は渡りに船であった。
同時に、そう考えた自分に対して怒りが湧く。
えべたんの果敢な意欲は自発的なもの、ということになるからだ。何かあった時に、自分は止めたがえべたんが望んだ、なんて話では、責任逃れも甚だしいではないか。
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