声?(コエダケガ140字で続けるのが辛いのでネタバレの回。
何が原因か不明ですが、同じ場所に存在するのに互いを認識できない。
認識できないからもちろん触れ合うこともできない。ただ声だけが携帯電話を通して交わすことができた。
以上に加速された時間の中へ紛れ込んだゲンの命は千空たちの正常空間へ帰還できなければ後6時間で塵なってしまう。
千空はどうにかしてゲンを助けようとするが刻々と時間は過ぎていく。
「千空ちゃん。もういいよ」
「諦めんな。俺が必ず助ける」
「うん。千空ちゃんが言うなら信じられる。でも、時間は待ってくれないでしょ?」
「ダメだ。…帰ってこい、ゲン。俺はまだテメェに言いたいことがっっ」
段々と力なく枯れた声に変化していくゲンの言葉に、彼に死が近付いているのをひしひしと感じる千空。
「声だけでも。嬉しかった。千空ちゃんの声…」
小さい声は受電のノイズにかき消された。
「ゲン?返事しろ、げん…‼︎」
まだ時間はあったはずなのに、ノイズだけを残してゲンからの通話は途切れた。
それでもゲンが死んだと信じられない千空が石化装置を彼がいる場所へと飛ばすことに成功してゲンに声をかける。
「聞いてんだろう?メンタリスト。狸寝入りしてる暇はねぇぞ。自分を石化しろ。んで、俺のとこに帰ってこい」
ゲンは科学倉庫の壁に背を預けてまだ息はあった。けど、かなり時間が進んで老化が激しく立つこともできない状態だった。
『こんな状態で帰るくらいなら死んだ方がマシだよ』
そう思っているのに千空の祈るような声に手元に転がったメデューサへ石化の呪文を唱える。
まぁ、ご都合装置ですから、ゲンは19歳まで巻き戻って通常空間に帰ってくる。
めでたしめでたし。