ゆきとおもひで「ここが力点で、こうなるから……」
遊星の手が滑らかに動き、数式を次々と書いていく。それを真剣な面持ちで相槌を打ちながら隣でアキが聞いていた。
「じゃあこれは……こういうことかしら?」
さらさらとアキの白い手がペンを動かして数列を並べていく。文字と数字の入り混じった式が何度も展開して、解が出た。
「ああ、正解だ」
「良かった」
緊張の糸が緩みほっと息をつく。苦手な分野の問題が解けたことが嬉しくて顔が綻んだ。
「流石アキだな。理解が早い。もう俺が教えることなんてないんじゃないか」
「ううん、遊星のおかげよ。この単元が特に苦手だったんだけど、先生の教え方が上手だから」
遊星を見やると、彼は笑って
「それは生徒が優秀だからだな」
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