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    マンスリー左寂お題企画(@319_1month)様のお題で書いた左寂です

    #左寂
    leftSilence

    「センセー、何してんだ?」
    左馬刻の呼びかけに、寂雷が顔を上げる。テーブルの上には様々な模様の色紙が広がっていて、その横に置かれた本はどうやら、折り紙の折り方を解説するもののようだった。
    「もうすぐひな祭りだろう?入院している子供たちと一緒にお雛様を作るのだけど…この折り方は、子供たちには難しいな」
    寂雷の手元には、一枚の紙から作られたとは思えないほど立体的なお雛様。綺麗ではあるが、子供が作るには確かに手数が多そうだ。
    「折り紙のお雛様なあ…こういうのはどうだ?」
    少し乾燥している指先が赤い折り紙を一枚摘み、しゅっ、しゅっ、と軽い音を立てて形を変えていく。数回折ってペンで目と口を書き込むと、平べったく可愛らしい雛人形が出来上がった。 
    「おや、確かにその折り方なら簡単だね。覚えるから、もう一度お願いできるかい?」
    寂雷が左馬刻に紫の折り紙を渡し、自分は青い折り紙を手に取った。真似をしながら一緒に雛人形を折り上げ、左馬刻くんありがとう、と嬉しそうに笑う。おー、と応えた左馬刻は、差し出された大きい手のひらに、自分が折った紫の雛人形を置いた。

    三月三日、ひな祭り。寂雷の診察室。
    「あれ、先生…紫と青のお雛様なんて、珍しいですね?」
    独歩が目を向けたPC画面の下には、折り紙で作られた蒼い目に紫の着物の雛人形と、紅い目に青い着物の雛人形が飾られていた。寂雷が少し恥ずかしそうに、人差し指を口元にあてる。
    「ふふ。左馬刻くんには、内緒だよ」
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