良守と二人で暮らす部屋に帰ってきた正守。
「ただいま~」
「おかえり」
「あれ?この花どうしたの?」
「途中の花屋さん通りかかったら売ってたから」
「へ~珍しいね。一輪だけ?」
「そ、そう。なんか恥ずかしくて」
「恥ずかしい?花買うなんて今までなかったのに」
「な、なんとなく。いいかなって・・・あははは」
「オレンジ色のカーネーションねぇ」
ダイニングテーブルに座った正守にグラスも持ってきた良守。
「はい」
「なにこれ?」
「オレンジジュース。喉渇いただろ?」
「そんなでもないけど。むしろビールとかのほうが飲みたいかな」
「そう言わずに、とりあえずどうぞ?」
「ふーん。じゃあ飲むかな」
さらにお皿を持ってくる良守。
「ケーキ作ったんだけど食べる?」
「お?じゃあ食べようかな。今日は何作ったの?」
「じゃーん!今日はオレンジピールパウンドケーキだぜ」
「どれどれ。うーん美味いなぁ」
「だろ?オレンジピールも作ったし、少しオレンジキュラソーも入ってるんだ」
「これ作ったの初めてじゃないか?」
「うん、まあ。たまには違うのも作ってみようかなと思って」
「へえ~オレンジづくしだな」
「あ、そうだ。良守にいいものをやろう」
「なに?」
「お前いつもカバンの中でガサゴソ探してるからちゃんとこれつけて置け」
「キーホルダー?わぁ!革のやつでカッコイイ。でも、なんでもない日にこんなのもらっちゃっていいの?」
「たまたま見かけたんだけど、ちょうどいいかなって」
「ありがとう!大事にする。オレンジの革って珍しいね」
「革なら長持ちするし、いい色だろ?」
「あっ!」
「なんだ?」
「オレンジ・・・」
「やっぱりお前も知ってたのか」
「え~兄貴も知ってたの。さっきのさりげなくオレンジアピールしてたの恥ずかしいじゃん。気づいてたんだろ?」
「まあな。最初は偶然かと思ったけど、あからさまにあそこまでされるとな」
「俺たち似たもの同士だな。はははっ」
「じゃあ、さっそく愛を深めますか?」
「なんだよ、エロ坊主!」
「オレンジのカーネーションの花言葉知ってるか?『純粋な愛』『あなたを愛します』だよ。俺って愛されてるねぇ。たっぷり愛を深めてやるからな」
4/14 オレンジデー
恋愛関係に限らず、家族や友人など大切な人にオレンジやオレンジ色のプレゼントを贈り、愛を伝えて絆を深める記念日