ドタデレラ③ そして、ぶとうかいのひになりました。
ドタデレラはひとりでるすばんをしています。
しくしく、しくしく。
ドタデレラはやねうらべやでないています。そのてにはぼろぼろになったどたまがありました。
「どたまもおかあさまにこわされてしまったわ……こんなどたまじゃ、ぶとうかいにいけないわ……」
ドタデレラがもっていたどたまは、ままははにみつかり「おまえがどたまをもっているなぞなまいきじゃ」と、こわされてしまいました。しゅうりをするにもざいりょうがないのでできません。それに、ぶとうかいにきていくドレスもありません。
しくしく、しくしく。
とてもかなしくなって、ずっとないています。
「もうなくな、ドタデレラ」
「えっ……?だれ?」
いきなりきこえたふしぎなこえに、ドタデレラがかおをあげると、めのまえがきらきらとかがやいて、くろいフードをかぶったひとがあらわれました。
「あなたはだあれ?」
「おれはまほうつかいのまおうだ」
「まおうさま……?」
まおうということばに、ドタデレラがおそれているとまおうははぁ……とためいきをつきました。
「そんなにおそれることはない。まおうもたまにはいいことをするのだ。おまえがあまりにもふびんだったのでたすけてやろうとおもってな」
「えっ?」
「ぶとうかいにいきたいのだろう?」
「はい!そうです!」
ドタデレラがめをかがやかせてこくこくとうなずきます。
「でも……わたしにはどたまもドレスもありません……それに、おしろまでいくばしゃも……」
かなしいかおでそういうと、まおうはにやりとわらい、てにしていたつえをくるくるっとまわしました。
「まかせろ。どたまかぶって、ぶう!」
まおうがじゅもんをとなえると、ボロボロになったどたまがかがやいて、とてもきれいなガラスのどたまになりました。そして、ボロボロのふくとくつもとてもきれいなドレスとくつになりました。
「まあ、なんてすてきなどたま」
きらきらとあおくかがやくきれいなガラスのどたまをみてドタデレラはとてもうれしそうです。
でも、もうひとつ、かなえてほしいねがいがありました。
「あの、まおうさま」
「なんだ?」
「もうひとつ、おねがいがあるのですが……」
「まだなにかあるのか?」
「はい」
ふしぎそうなかおをするまおうに、ドタデレラはいいました。
「おむねをおおきくすることはできますか?」
「は?!?!」
そうです。ドタデレラはとてもかわいらしくかれんなむすめでしたが、むねがちいさいのがコンプレックスでした。
「いや、おおおおれは、そういう、まほうは、つかえんっ!!」
まおうはかおをまっかにしてそういいます。みかけによらずまおうはうぶなようです。
ドタデレラはどうしてまおうがかおがまっかなのかわからずにくびをかしげましたが、むねがおおきくなるまほうがつかえないのならしかたありません。
「まおうさま、ありがとうございます。このごおんはわすれません」
ドレスのスカートをもちあげてあたまをさげました。
「いや。おやすいごようだ。ああ、そうだ。ドタデレラよ。これだけはまもらねばならぬことがある。きょうの12じまでにはかえってくるのだ。まほうがとけてしまうからな」
「12じまでですね。わかりました」
ドタデレラがそういうとまおうはうむ、とへんじをしました。
「さあ、いってくるがよい。やしきのそとにばしゃをよういしている」
「はい」
ドタデレラはえがおでそういって、うれしそうにへやからでていきました。