ドタデレラ④ ドタデレラがおやしきからでると、とてもごうかなばしゃがありました。
「まあ……すてきなばしゃ……」
ですが、このばしゃにはうまではなくおおきなわにがついています。そのおおきなわにはドタデレラをみるとあたまをさげてばしゃのどあをあけました。
「どうぞ、すてきなおじょうさん」
「わたし、ですか?」
「ええ、そうですよ」
「わにさんが、このばしゃをひくのですか?」
「そうです。さあ、はやくなかへ」
しゃべるおおきなわににうながされて、ドタデレラはばしゃのなかにはいります。わにのなまえはクロコダインといいました。
「もうしわけありません、クロコダインさん。よろしくおねがいいたします」
「いやいや、とてもれいぎただしいすてきなおじょうさんだ。それでは、いきますよ」
クロコダインはごうかいにわらってから、ばしゃをひきはじめました。
「すこし、いそぎますぞ。ゆれますが、がまんしてください」
「はい」
クロコダインはすこしでもはやくつくようにおおいそぎてはしります。ドタデレラは、ドキドキしながらばしゃのなかですわっていました。
おしろでは、すでにぶとうかいがはじまっていました。ぶとうかいにさんかしているひとたちは、みんなきれいなどたまをかぶっています。そのようすはとてもはなやかです。
「おお……やっぱりしろのぶとうかいはごうかだな!それで、おかあさまよ。おうじさまはどこだ?」
「…………………」
ミスこはあいかわらずずっとだまっています。
「そういそぐでないフレイザーこ。おうじはまだいらっしゃらないようじゃ」
きょろきょろしているフレイザーこにザボみがいいました。
そうしていたらおうじさまがあらわれました。おうじさまはとてもハンサムで、とてもきれいなほうせきでかざられた、ごうかなどたまをかぶっています。
「おおお!あれがおうじさまか!おうじさまといちばんさいしょにどたまうちをするのはこのおれだ!」
「おちつけ、フレイザーこよ。どたまうちはだんせいのほうからさそうものじゃ」
ザボみからそういわれて、フレイザーこはぐぬぬ……とはぎしりをしました。
「はぁ………わたしはまだきさきをめとるつもりはないのだが……」
このくにのおうじ、ふろーらさまはぶとうかいのようすをみながらためいきをつきました。
「ちょ……そんなこといわないでくださいよ〜、ふろーらさま。ちゃんとこんやくしゃをきめてもらわないと、おれがおうさまとおうひさまにおこられるんですからね」
たいくつそうにしているフローラおうじに、けらいのポップがあきれたようにいいました。
「ちちうえもははうえもかってすぎる……だいたいわたしはあまりきかざるのがすきではないことはしっているだろう……しかたなくつけているがこのどたまはあまりすきではない」
「そんなことおれにいわれましてもねぇ……」
きょうみがないかのように、よこをむいてしまったフローラおうじに、ポップはためいきをつきました。
そんなとき、おしろのおおきなどあがひらきました。
ぎいい………
そこにあらわれたのはとてもかわいらしいどたまをつけた、ドタデレラでした。