好きかもしれない ぽつ、と、顔が濡れた感触がした。
あれ、と思って上を見ると、また、ぽつ、ぽつ、と顔に水滴が落ちてくる。
「雨だな」
隣で、ハッサンが空を睨みつけるように見上げながらそう言った。
雨、と口の中で呟く。そのままぼんやりと曇った空を眺めていると、頭の上に何かがばさりとかぶせられ、ボクは驚いた。
目の前が真っ暗だ。慌てて、目の前を塞ぐ、自分にかけられた何かを手に取って見てみると、それは。
「……黒い布?」
何だろう、と思ってそれをしげしげと眺める。その後にふとハッサンを見て、あっ、と思わず声を上げた。
ハッサンはいつのまにか、いつもは肩に斜めがけしている荷物を手に持って、上半身には何も身に纏わない、裸の状態になっていて、……つまり、この黒い布は。
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