「はあ?なんで俺?」
ライオスへの用事を済ませた城内広間にて、さっさと踵を返しかけたチルチャックを慌てて呼び止めたのはマルシルだった。あーっとえーっと、とひと通りどもったと思えば両手を勢いよく合わせ頭を垂れ、「チルチャック、私と社交会行って!」と突然懇願されれば、チルチャックが怪訝な顔をするのも無理はない。
「せ、西方エルフ主催でね…」
「うわっなんかもう嫌」
「エルフとトールマンの異文化交流会?みたいなのを開くらしくて」
「なんっだそりゃめんどくさそ」
「それに私呼ばれまして、外交がてら行くんですけど」
「頑張れよ~」
「ちょっと遠出しなきゃいけないんだけど…そこにトールマンの帯同をお願いされてて」
「こちとら”ハーフ”に何のご用事が?」
1923