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    SEENU

    MAIKINGハイコルヴォ×ロウダウド 続き
    Destructive Circuits 3

    コルヴォからの仕事がなくなったことで、とうとう捕鯨員はトーマスただ一人になっていた。彼がコルヴォを一方的に批判した後、彼らの連絡場所であるグラニ―宅に新しく指示の手紙や金が置かれることはなかった。彼は毎日確認に行っていたが半月経ってもダウド以外の人間が訪れた様子はなく、死の匂いと鼠たちだけが変わらずそこに居た。ダウドは最後の部下にもこの街を離れる事をすすめたが、若い実直な右腕は言う事をきかなかった。

    “仕事が必要なら、僕が取ってきます。”

    部下はそう言い、どこからか人探しや盗みの案件を持って来た。ダウドは既に貯めていた金を部下たちに分け、とりわけトーマスには多くを遺したはずだったが、彼は“自分が食べるぶんだけあれば充分です” と、年長のものや怪我で手足に不自由を負った仲間に分けてしまったようだった。トーマスは部下の中でもダウドが知る限り一番きれいな男だった。彼はダウドが殺しを望んでいない事を斟酌し、血が流れない仕事ばかりを請け負って来た。もちろん今までダウドの命令であれば罪のない相手であっても簡単に命を取っては来たが、元々あまりそういった案件は好きではないようだった。
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