ひいらぎの下で クリスマスは家族で過ごす日か、それとも恋人と過ごす日か。
そんなくだらない話題をテレビが喋っているなか俺はいつものように屋敷の中を駆け回っていた。父親も母親もこの時期は忙しくてほとんど家に帰ってこない。
学生ということで呼び出されることの少ない俺も当日ばかりは逃げられずに引っ張り出される。なにしろ今日は一年のおわりにやる最後の宴でアジーム家の人々だけではなくたくさんの親戚の方々もやってくるのだ。
客室の準備から会場準備、そしてテーブルに並びきれないほどの料理の数々。
ここ数年は俺はキッチンの手伝いを任されていて一日中フライパンを振ることになる。まあ料理を作るのは嫌いじゃないし、客人だけでなくアイツの口にも入るのだから会場や客室の担当でなくてよかったと思わなくもない。
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