彼岸の香り向こう側に行く事は、案外簡単な物で私は何度も半分以上足を、いや身体を浸からせてしまっている
何度も何度も、でもその度に私の友人である京極堂がこちら側に引き戻してくれるのだ
嗚呼、それを私は望んでいるのかもしれない
依存をしているのは私であり、京極堂も同じである
だから私達は、今日もだらだらと体を重ねている
ひんやりとした京極堂の肌も、体を重ねると熱を持つ
畳と、白檀の香りがする
彼の首筋に歯を立てるまえに、その香りを肺一杯に吸い込む
京極堂の香りだ、汗の香りと混ざった匂いが
がぶりと首筋に歯を立てるととくん、と血が通っている感覚が伝わる
ぎゅう、と京極堂の窄まりが締まる
そのまま私は果てた
生殖の意味を成さない子種が彼の中に注がれる
生ぬるい感覚と、気怠げな感覚に襲われて彼の上にそのまま覆い被さってしまう
嗚呼、眠い
すり、と頬を寄せると背中に腕が回されて、とん、とんと寝かしつけるように叩いてくれる
私はそのまま微睡の中に落ちていく
嗚呼、生きている