一分一秒でも体を重ねている時の、繋いだ太郎の手が好きだ
短く切られて磨かれた爪は俺を傷つけないためだろう
綺麗に洗ってくれた爪と指紋の間からは、油の匂いがする
太郎の匂いの半分以上をしめている匂いだ
頬に手が触れると、機械油の匂いが香る
その直後に唇が重ねられて、太郎の汗と唾液の味と合わさって脳みそがビリビリと痺れる
夢中になって舌を絡ませあいながら鼻で呼吸をすると全てが合わさった匂いがしてどうにかなりそうだ
愛おしくなって、ぎゅうと頭を求めるように強く抱きしめる
生きている
呼吸が、聴覚が、嗅覚が、味覚が、触覚が、満たされる
ああ、どうにかなってしまいそうだ
結合した部分からの快楽が溢れて蕩けるようだ
このままずっと、身体を重ねていたい
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