愛しい時「あれ、ま〜くんだ!おい〜っす」
「おい〜っす…」
ESの休憩場所で次の仕事の台本を読んでいたら、ひょっこりと凛月がどこからともなく、現れた。俺は覚えることに関して、あまり器用ではない。だからキリのいいところまだもう少しだったので、そっちを向けなかった。セリフも多く、見せ場も多い。次の仕事につながる仕事だろうから気も抜けない。
「ま〜くん、あーん」
「あー…」
凛月に言われて口を開けば、口に入れられたのはチョコレートでコーティングされたプリッツ。多分食感で言えば日本のポッキーなんだけど、生地がココア味で普通のポッキーに比べ、豪華に感じる。
「…これ、なんだ?」
「この間、海外の仕事でもらったやつ」
凛月の手にあるのは紺色のポッキーで日本で見たことないパッケージだった。ポッキーの下には中国語で百奇って書いてある。
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