明けの明星生徒会の仕事は忙しい。それはもう、めちゃくちゃに忙しい。春は体育祭、秋は文化祭の運営に関わらなければならないし、冬から春にかけては卒業式の準備もある。じゃあ夏は暇なのかって?夏休みに向けて色々やるしなんなら登校日もあるよ畜生。点数稼ぎと生徒会に所属することで得られる様々な特権に惹かれて推薦に飛びついたけど、こんなに苦労させられるなんて聞いてない。しかも会長にはなれなかったし。私を押し退けて生徒会長になりやがったもうひとりの"優等生"は部活動の視察〜とか言って逃げやがったし。くそ、くそ。帰ってきたらUターンさせて飲み物買いに行かせてやる。
無心にもなれずに書類に目を通して風楽の名が彫られた印鑑を朱肉にぐりぐり押し付けると、目の前に音も立てずに紙のパックが置かれた。いちごミルク。二〇〇ミリリットルのやつ。顔を上げれば、本来は部外者である渡会雲雀が立っていた。その左手には自分用らしき缶コーヒーが握られている。
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