今日もまた、負け「HiMERUさん、起きてください」
砂糖と蜂蜜を溶かしたような、甘い声だった。落ち着いたトーンは本来心地よいはずなのに、あまりの甘さに胃もたれしてしまいそうだ。
「(……この、声)」
肩を揺さぶられて、段々と意識が浮上する。そうしてやっと、その声が寝起きに聞くはずの無いものだと気付いて飛び起きた。
「…………巽ッ!?」
上半身を起こして、まだ上手く回らない頭ですぐ横でベッドに腰掛けていた影と顔を合わせる。紛れもない風早巽がそこにいた。しかも、何故か二人して全裸で。
「ど、うして、HiMERUたちは……裸なのですか……?」
「おや、覚えておりませんか?」
かたやHiMERUはぼさぼさの寝癖頭だというのに、巽は寝起きとは思えないほどいやにすっきりしている。服さえ着ていれば仕事現場ですれ違ってもおかしくない程に。
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