「先生、来月のお誕生日、何か欲しいものありますか?」
「モノは別に要りません」
「ええ?折角お付き合いして初めての先生のお誕生日なのに?なにか贈りたいな」
「……思い出に残るようなことを、してもらえると嬉しい……であります」
「思い出かあ~。いいところで食事……はちょっと普通かな。当日は平日だから難しいけど、少し日にちずらしてどこか出かけましょうか。どこがいいかな、思い出に残るような場所……」
「そ、そういうのじゃなくていいです」
「え?」
「……君と、過ごせれば……。その、君の家とかで……」
「うち?」
「……はい」
「うちで思い出に残るようなこと?」
「…………」
「……なんか、」
「…………」
「すみません、僕、ちょっと不埒なこと考えてしまいます」
「…………」
「……先生がしたいことあるなら言ってもらえると助かりますけど」
「……」
「……怒られたら困りますから……」
「……怒らないであります」
「ほんとですか?」
「君が僕のために考えてくれたことなら……。……僕、男らしくないでしょうか?」
「いえ……、いや、いいです。うん。僕からちゃんと誘いたいって思ってたので、大丈夫」
「……ありがとう……」
「先生の誕生日、楽しみです」
「……はい」
「………………あー……」
「?」
「あと1ヶ月我慢、キツすぎ……。いや、ひとりごとです、気にしないでください。あ~っ……」
「……僕も」
「え」
「なんでもないです!」
おわり