その熱は何処へ これは駄目かもしれない。
タイムカードを押してから水心子正秀は職員用通路を入ったところでしゃがみ込んだ。原因には幾つか心当たりがある。
「……私としたことが、情けないな」
このまま出勤しても迷惑がかかるだけだ。今日は休みを貰おう。その前に一度、救急外来を受診しておきたい。このままでは帰り道で間違いなく倒れる。壁を支えに水心子は立ち上がった。頭も痛いし気分も悪いし熱っぽい。ゆっくり歩いて職員用の通路を抜けて救急外来の待合室へ向かった。
「水心子?」
受付を済ませようとしていた時に名前を呼ばれた。
「今日、救急の日直だっけ? シフトが変わったとか……ではなさそうだね」
じっ、と親友の顔を清麿は覗き込んだ。
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