花束「おーい!カデンスー!」
いつもと変わらない一日
毎日同じ木々の香り
昨日と同じそよ風
その風に乗って、俺の名前が聞こえてきた
薪を切る手を止めて、声が聞こえた方を向く
聞きなれた、よく知った人物の声
「おー、どうしたアルジャナ…って何だそれ?」
今日も俺に会いに来た、親友のアルジャナ
暇があればいつも来る
ここに来る時の彼はいつも手ぶらなのに、
今日は何かを持っていた
「途中の花屋で見つけてね、とても美しかったから君にプレゼントだ!まぁ、花束よりも僕の方が美しいけどね!」
彼はそう言って、花束を俺にくれた
「白い、バラ…?」
「美しくて綺麗だろう!僕の次の次の次に!」
「ハハハッ、なんだよそれ」
いつもと変わらない彼
一つだけ違うのは、彼が珍しく贈り物をくれたということ
彼がくれたのは、白いバラの花束
「少なかったが、あるだけ包んでもらったんだ」
「へぇ、そうだったのか」
「どうだ?気に入ったかい?」
「……おう、気に入った」
キラキラとした笑顔で聞いてくる彼を見て
俺は笑みが溢れた
「そうだろう!なんたって美しい僕が選んだんだからね!気に入らないわけがない!」
「はいはい、んじゃ早速生けるか」
いつもと変わらない日常の中に、
親友がくれた薔薇の香りが混ざる
目にも鮮やかな、5本の白いバラ
俺はそれを青い花瓶に生けて窓際に飾る
白いバラは太陽の光を浴びて、キラキラと輝いていた
「そうだカデンス!僕の話を聞いてくれ!」
「おう、いつでも聞くぜ」