シュウは嫉妬深い。嫉妬したことで癇癪を起こす訳では無いが分かりやすく身体をくっつけてくる。
例えば、飼っている犬と遊んでいるとき。かまってかまってと部屋の中を駆け回り、おもちゃで遊んで満足すると今度は腹を見せて甘えてくる。たくさん撫でてもふもふの腹に顔を埋めると、突然脚に体温を感じる。顔を上げて確認するとすぐ横で太腿がぴったりとくっつくようにシュウが座っている。
飼い犬に嫉妬?と思うかもしれないが目の前で自分以外を可愛がっていたら嫉妬の一つや二つするだろう。シュウにとってはこれが最大のかまってアピールなのだ。
シュウの頭を撫でて頬に手を下ろすと、待ってましたと言わんばかりに擦り寄ってくる。嬉しそうにほころぶ顔が大好きだ。
飼い犬でこれなので、対人間だとどうなるか想像に容易いだろう。
例えば、シュウと二人でBARでお酒を飲んでいるとき。カウンター席で隣り合って座っているところに夜のお誘いを持ちかけられると、シュウはまず近づいて脚をくっつけてくる。お誘いを持ちかけられたのは俺だけではなくシュウもなのに、どうするの、とこちらの顔色を伺ってくる。もちろん断るが、その人たちが去ってもシュウと触れている脚はそのままだ。
カウンターに置いてあるシュウの手に指を絡ませると、それを見てシュウの表情は柔らかいものになる。そのまま腕に抱きついてきて肩に頬を寄せるとちらりとこちらを見る視線とぶつかる。
普段、外でくっつく事はほとんどないのに、人目のある場所で大胆に腕に抱きつく。
「…ルカ、酔ったかも、」
いつもより少ないお酒で酔ってしまったシュウは外に出ると、より顔が赤くなるのが可愛くて大好きだ。
オンラインで友人とゲームをしているときは、ヘッドフォンから出る音はシュウには聞こえない。
一時間もすると椅子を持ってきて隣に座って眺めるし、もう一時間経つと飲み物を持ってきて椅子に座らずにすぐ側に立って飲み物を飲む。一口くれるためにまた少し近づいたシュウはその距離を離すことはない。少し椅子を後ろに引くとシュウの背中で一瞬モニターが見えなくなって、膝の上に収まった。どうぞ続けてくださいとでも言いたげに、またモニターを眺める。
時折振り返って飲み物を分けてくれるシュウは、自分がプレイしている訳では無いのにとても楽しそうだ。
シュウは嫉妬深い。でも嫉妬される事は全く以て嫌ではない。寧ろ嬉しく思う。自分が誰かと一緒にいる時、シュウはいつも側にいて俺を見つめている。
俺はそんなシュウを見て安心するのだ。