Stella 急ぎ足で静かな廊下を歩く音が聞こえる。カペラはある人物の所に向かっていた。こんなにも急ぎ足になるのは不安からだ。
毎日訪れているドアの前に着くと一呼吸をおいてからノックをし、慌てずにいつもの口調で声をかける。
「ベガ様、失礼します」
そうカペラが声をかけると穏やかな柔らかい声で「どうぞ」という声が聞こえてきた。その声にカペラは心底安心をする。ゆっくりとドアを開けると声の主であるベガが揺り椅子に座りながら入ってきたカペラに微笑む。
「おはようございます。ベガ様」
「おはよう、カペラ。ちゃんと今日も起きていますからそんなに不安そうな顔をしないでください」
「え……そんな顔を僕はしていましたか?」
「ええ……大丈夫ですよ。私はもう目覚めましたから、カペラ。悪夢も見ませんよ」
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