「Until Death Do Us Part」浮奇ヴィオレタは、彼氏の絶えない男であった。
その理由には、元来ノリの良い性格であることに加え、人からの好意に聡いことが挙げられる。
夜の街に繰り出しては、寄って来た男の手を取り、その誘い文句に甘えるようにして体を預けた。
しかし、相手からの熱烈なアプローチを受けて始まった交際関係はいつも長くは続かない。
相手の気持ちが重くなるにつれて浮奇の情は薄れていき、次の相手をキープしてから別れるというのが常だった。
そんな浮奇の交際癖に終止符が打たれたのは、五年前の出来事。
元カレであるファルガー・オーヴィドとの出会いがきっかけだった。
ファルガーの恋人として過ごした僅か三年間で、浮奇の恋愛観はがらりと変わった。
別れてから二年経った今でも、もう昔のように恋人を取っ替え引っ替えするようなことはない。
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