檸檬「……本で、読んだんだ」
「だからってあんなことをする必要はないと思いますが!?」
こめかみを押さえながら、茨は叫んだ。この光景は二回目だ。床に正座する凪砂。その服には【私はブックルームでの騒動の犯人です】と書かれた張り紙がついていた。ただ以前と異なり、ここは事務所ではなく星奏館であった。そして、隣にもう一人――
「おやぁ? 毒蛇さんはご存じではありませんでしたか」
「そういう問題ではありませんが!?」
全く悪びれるそぶりも見せず、にこにこと愛想を振りまく渉の姿に、頭痛が酷くなったような気がした。
「……以前の時もそうだったけど、私の行いのどこに罪があったのかな。」
更には凪砂もこの調子であった。ブックルームから始まり星奏館中が上を下への大騒ぎになった原因二名は、自らの行いをまるで反省するつもりがないようだ。じきに寮監の敬人もやってくるだろうが、果たして彼もこの二人に灸を据えられるだろうか。それにしても頭が痛い。茨は大きくため息をついた。
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