雨曝しの告白「災難だったな」
轟轟と降り注ぐ雨音が電話向こうにも聞こえているのだろう。笑い声を交えた労いの言葉に、裏社会の頂点に利くには軽すぎる口調で「ほんとだよ」とため息を戻す。
「ラジオもテレビも、朝には止むと口を揃えている。火急の用があるわけでもないんだ、そう急いで戻ってこなくともいい。身を寄せられる拠点にはたどり着いているのだろう?」
「一応ね。雨風が凌げるってだけだけど、この状況じゃそれだけでも万歳かな」
「違いない。くれぐれもロック君を頼むよ」
「わかってる。任せておいて」
横目でちらりと青年を見やる。雨に濡れた頭をわしゃわしゃと拭っている青年はこちらの視線に鋭く気づいて、なんだよと首を傾げた。なんでもないと笑ってやって、報告に戻る。
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