ぬくもりというくすり意識がぼうっとしている。目覚めたと思ったのだが、まだ夢の中にいるのかもしれない。脳が浮いているような気持ち悪さがあって、今自分がどこにいるのかの判断がつかなかった。うまく頭が回っていない。具合でも崩したのだろうか。これは危ないぞ、と、回らないなりにきちんと警鐘が身体を巡った。今の私は兵器を二つも抱える身だ。爆弾と獣と。己を律して管理しておかなければ、破壊しなくていいものを巻き込んでしまう。
「……?」
過った不安に応えるように、デストルクティオが顔を出した。視界に入ったそれは、どこかしょぼくれた顔をして私の頬をつついている。おかしなものだ。デストルクティオにそそのかされた私自身はあれほど凶暴だったというのに、この触手自体は甘えたの子供のごとき幼さがある。――はて。それより、デストルクティオなんて名を、私はどこで知ったのだったか。これは星の零涙から生まれ落ちた化け物であって、長らく名前などなかったはずだ。
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