変則的な君 嗚呼、また負けてしまった。
負けるつもりはなかった、なかったけれど、ここ直近のループは負け越しているように思う。どうにも調子が宜しくない。ただでさえ愚鈍な思考が上手く回っていない気がする。
(分かって、いたんだけどなあ)
彼が、人類の敵……グノーシアだって。
ずっと、脳裏に焼き付いている光景があった。
光源に乏しく、薄暗い部屋だったけれど、伏せられた睫毛には微かに光が乗っていて。おもむろに上げられた顏には、普段は逸らされている淡い紫が、珍しく此方を真っ直ぐに見つめていて。その紫は、まるで灯火のようにゆらゆらと煌めいていた。
そして、瞳がすぐに逸らされたと思ったら、震える唇が開き──────…………
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