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    エース

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    ムンナ マクステ(ジェイク視点) ジェイクが通し稽古する話。1/22~のレカペさんにて頒布したDuoに付けさせて頂いた無配。これだけ読んでも?って感じかもしれません。

    Generalprobe 仕事中時間を潰すのに読むため買った雑誌を五・六冊束に重ねて紐で括る。人や死体を括る以外に紐っぽい物を使う事なんて無かったから見様見真似だが、どうせゴミ捨て場まで運ぶのは俺じゃない。括り上げた雑誌の束を持ち上げてみると力任せにギュウギュウ縛り付けたのが良かったのか、或いは適当にやったやり方が正しかったのかバラバラ崩れてしまいそうではない。まぁこんな物で十分だろう、とそのまま雑誌の束を手に荷造りをしていた机から離れて玄関横に置いてあるポールハンガーの元まで行きその足元にドサッと軽く投げ捨てた。

     そのまま振り返って玄関に背を預ける様にして部屋の内側を見、ぐるりと室内を見回して最終確認をしてみる。気分はさながら通し稽古前の舞台監督だ。
     キッチン良し。料理は嫌いじゃないが自分一人の為に食事を作る程好きな訳じゃないしこの部屋じゃ精々買ってきた物しか食べてないから調理器具も調味料も無いから大丈夫。いや、もしかしたら塩くらいならあるかもしれないが、まぁ誤差みたいなもんだろう。まさか塩から俺の存在を想像したりはしないだろうし。
     テーブルの上、良し。このテーブルの上では食事と武器の整備、偶に雑誌を広げたりもしたが常にその時使う物を広げていただけなので今日はつい持ってきてしまった手袋しか乗っていない。端の方に二・三度ナイフを刺した事があるせいで大き目の傷があるが見てすぐナイフ傷とは思わないだろうしこれも誤差。
     バスルームを思い出して、ここは最初に気を付けて掃除したからバッチリ良し。血みどろになっても人目にさえ気を付ければいつだって好きな時間にシャワーが浴びれるのはありがたい事だ。自分の部屋が欲しいと思った事は無いがあれば便利かもしれないと思ってしまった。まぁ、ここはもうすぐスティーヴンの部屋になるから俺は出て行かなきゃなんだが。
     ベッド、まぁこれはそのままで良いだろう。もうバラしてる時間も無いし、スティーヴンだってデカいベッドは嫌いじゃないだろう。気を使ってシーツはまだ綺麗目なのを敷いておいてやったしそもそもベッドが気に入らないなら悪いがそこは自前で何とかして貰おう。普段は車で寝る事が多い分体を伸ばして寝れるベッドは気に入っていたが……まぁこのベッドが変わらなければその内おこぼれにあずかれることもあるだろう。
     備え付けの棚の中を全部ひっくり返して確認した訳じゃないがそういうのはこの後来る予定になっているマークの仕事だろう。あんまりこういう、金さえ払えば誰でもすぐに借りられるような部屋が綺麗さっぱり片付いているとそれこそ前の住人は同業者ってとこだろう。だから違和感を持たせない程度に適当に綺麗なら十分だ。
     最後にクローゼット、この部屋に残っているのは買ったが結局趣味じゃなくて一度しか袖を通していないコートと、あとは……。

    「おっと、思い出した」
     一つ一つ点検していく中、すっかり忘れていたことを思い出した。玄関に預けていた背を離し元から家具も少なく寂しかったのに更に物が無くなりガランとした部屋を移動してクローゼットまで向かう。クローゼットには思い出した通りロングコートが一着入っているだけで、後はその奥に一本のアコースティックギターがケースに入れられ仕舞われている。
     俺はそのギターケースを手に取り部屋の中央まで戻ると床に座りケースを開けギターを取り出しギターを構えた。ポロロロと上から順に弾いてやるとここの所触れていなかったが思ったよりは音に狂いが無い。それでも自分の耳を頼りに一本づつ調弦していく。弦を弾いて、ベグを回す。
     十五の頃に初めてそうした時よりも、もうずっとこなれた動きでそうできる。調弦を一巡して、もう一度すべての弦を鳴らす。うん、悪くない。誰に聴かせるでもない時にチューナーを使わないと気が済まない程潔癖じゃない。ポロロとただ弦を弾きながらさて何を弾こうか考える。
     掃除はもう粗方終わったし、マークが来る予定になっている時間まであと二十分ほどある。今日はこのままマークと交代する予定だったから、服装も自分の物ではなくマークの格好をしているからこのまま入れ替われる。だから最後に何曲が弾けるだけ弾いておこうと思った。

     マークが弾かなくなってから、代わりに俺が楽器を弾くようになった。学生の頃は音楽室にあった物を手当たり次第に触ったし、家を出てからは手頃だからとギターをその時々で買ったりもした。その甲斐あってか今ではそれなりに色んな曲を弾ける。
     流行りの曲だって耳で覚えて弾くことが出来るし有名バンドのちょっと古臭い曲だって何でもお任せあれといったレベルだ。数少ない時間を使って練習したギターは唯一の俺の趣味と言える。生きるのにも、仕事にも何の役にも立たないただの趣味。
     
     きっとこのギターはマークに捨てられる。マークはギターを壊されてから他のどんな楽器も所有してこなかった。でも自分からギターを捨てに行く気にはなれなかった。
    「意外と才能あったのに。もったいない奴」
     誰に聞かせるでもなく呟いて、思うが儘弦を押さえて曲を奏でる。マークとの交代まであと十分。最後の演奏会だ。
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    エース

    DOODLEムンナ マク♀ステ 仮面舞踏会パロ
    あめさんとのお喋りで盛り上がったやつ。何かちょっと書きたかったのと違うんだけど、一旦これで。
    この後無事二人は再会し、お喋りに興じるがジェがマクの仮面を借りてステに会いに行きジェステも始まる。三人が顔見知りに(顔は知らない)になった頃漸く名乗り合うマクステと、出会って速攻名乗るジェイク。
    マスカレード! 仮面舞踏会。それは一時身分やしがらみを忘れ、享楽に耽ける場。表向きは日々の憂さ晴らしや拙い秘密の遊戯と言った所だがその実、密通や淫行が蔓延る会もそれなりにあった。
     俺はそもそも舞踏会というものに興味が無く、それは仮面を被っていても同じ事だった。寧ろ相手が誰か分からない分厄介な事も多い。そしてそんな俺がこの仮面舞踏会に参加している理由は、単に兄弟のお目付け役だった。いや、半分がお目付け役、半分が兄弟に無理矢理引き摺られて来たせいだ。
     俺の双子の兄弟であるジェイクはこういった華やかな場が好きで、好んで顔を出す。そして俺なんかより遥かに上手に様々な思惑に満ちた、この見掛けばかり豪華な生け簀を泳ぐ。今日も俺を連れ出すだけ連れ出して、自分はサッサと舞台の中央に躍り出てしまっている。
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    エース

    DONEムンナ マクステTOS天使疾患パロ。三人の誰でパロディするか悩みに悩んで、結局マクステだなとなりました。理由としては、TOSの公式CPはロイコレだと思っているので、それならば三つ子でやるならマクステしかなかろう、と。
    配役の方は〝何かと契約して人で無くなる〟ならそれはマークだし、〝普段は抜けてるのに大事な人の事はちゃんと見てる〟のはステだろう、と思ったから。なのでロイコレからのマクステ解釈です。
    消えた涙 ぼんやりとベッドボードに背を預け窓の外を眺める。明るすぎる都会の空ではろくに星も見えないが、こうして朝まで時間を潰すのにも随分と慣れた。ただ静かに息をして、隣で眠るスティーヴンを起こさない様に気を付けていれば良いだけだ。
     窓の外を眺めるのに飽きたら今度は隣のスティーヴンを見る。それを繰り返していれば、朝までそう時間も掛からない。
     今日もやっと日付が変わった所だ。朝までのあと六時間くらいを、いつものように窓の外とスティーヴンとを往復しながら過ごそうかと思った時、隣の塊がゴソリと動いた。
    「マァク……、眠れないの?」
    「スティーヴン……悪い、起こしたか」
     窓から振り返るとスティーヴンが眠たそうにしながら目を擦っていた。静かにしていたつもりだったが、やはり隣で体を起こしているべきでは無かったのだろう。いっそベッドから離れて、そのままソファで過ごすべきだったと後悔した。
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