薄浅葱に溺水……
あつい。
何もする訳でもなく、ただ立っているだけで汗が滲んできてなんとなく生活しにくい様な毎日が続く。
この長い髪のせいなのか、それともあまり着慣れていないこのバトルタワー用の衣装のせいなのか。
首元のスカーフを緩めながらそろそろどうやって暑さを凌ぐか考えなければ、と思いながらもひとまず今の暑さを逃がす為に、普段は下ろしている髪を簡単に束ねて机に散らばった書類を手に取り始める。
今日は幸いにも早く帰れそうだ。早くシャワーを浴びたい。
チャンピオンの頃に着ていたユニフォームの通気性の良さや、動きやすさを無性に恋しく感じながら帰るための準備を進めていると、扉からコンコンとノック音が響いた。
「どうぞ。入っても大丈夫だぜ」
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