夢を見た ――彼に抱かれる夢を見た。戦友であるはずの彼に。
いかに殺生も酒も好む生臭坊主の俺とは言え、「友」に肉欲を向けるほど不埒な生き物に堕ちちゃあいない、はず、だったのに。
(触れてほしい)
あの大きな手で。他の誰も許さなかったこの肉体の随所を。
(見つめてほしい)
太陽にも月にも負けぬあの輝きを放つ瞳で。許されることなら俺だけを。
(……ああ、俺は)
抱いた欲望に気づかぬほど、初心でも鈍感でもない。聡い彼から、一体どうやって隠しきろうか。そのことばかりを考えた。
*
――彼を抱く夢を見た。戦友であるはずの彼を。
吾の中に彼の人格が生きているせいだろうか。夢と呼ぶには些か鮮明に過ぎた。生前の誰よりも丁寧に触れて、蕩かして、抱いた。
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