進学したらNanaがいた専門学校の入学式。
慣れないヒールだからと言い訳を溢すにはあまりに無理がありすぎるほど、盛大に腰を抜かした。
「…………………Nanaじゃん」
衝撃からか、うまく空気の吐き出し方がわからない口から掠れるように出てきた言葉は我ながら信じられないもので、聞き取れないほどか細い声になったのは不幸中の幸いなのかもしれない。
衝撃の事実。事実が先か、衝撃が強すぎて事実がねじ曲がったのではないか、そもそも衝撃がきているのだからまごうことなき事実ではないのか、などと意味のない自問自答で現実から目を逸らそうとしてしまう。だがしかし、目を逸らそうとしている時点で現実を認知しているのだと、変わることのない現実だと逸らした目を戻そうとする自分もいて、結局のところ混乱に混乱を極めている他ないのだと思う。
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