季節ハズレのジングルベル「わたし、その…グルーシャさんが大好きです…!!」
一世一代の告白。雪は優しく深々と…とはいかずそこそこ吹雪いているある冬のナッペ山ジム。
拗らせた遅い初恋は想いを伝えろと張り裂けんばかりに心に叫び続けて向こう見ずな性格も相まって今しかないと想いの丈をしっかりぶつけてしまっていた。どうなりたいかとかどうしたいのかとか何も考えず、ただ伝わってほしい、そう願って。
下を向き固く瞳を閉じて数秒、体感時間は数十分。変わらぬ風の音とひんやりを通り越して寒さが身に染みてきた頃、眼前の人からの返答どころか交わされる言葉もなくあれ?と思いながら顔を上げ瞳を開けば微動だにせずわたしが声をかけた時の姿勢のままどこか遠くを見ているような感覚。え……不発に終わった?そんな不安なわたしをよそに漸く口を開いて語りかけてくれる。
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