ぬいぐるみと木手甲斐「よし、出来た……」
ミシン糸の後始末をして、仕上がった洋服をしみじみと眺めた。オレンジ色をベースに色とりどりのハイビスカスが散りばめられた、小さな小さなアロハシャツ。
「えいちろ、できたかや~?みせて わんに みせて」
ミシン台の上で俺の作業を見守っていた小さないのちが、両手をぱたぱた、と動かしてはしゃぐ。彼の脚はお座りの姿勢で固定されているから歩くことは出来ない。片手でそっと柔らかなボディを持ち上げて、シャツをあてがってみた。
「夏らしくてイイ感じじゃないですか?」
「あぃ~ でーじかっこいい!きせて!きせて!」
着脱しやすいように、前のボタンは飾りにして裏地にスナップボタンを縫い付けた。柔らかいお手々に袖を通して、ぷち、ぷち、とスナップボタンを嵌める。うん、袖丈も着丈もピッタリだ。手鏡をかざして見せてやると、彼は「ワァ……!」と嬉しそうに笑った。
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