ライミチ おてての話「なにやってるの?」
控え室に居たところ、声をかけられた。
声の方へ顔を上げると、いつも聴いてる、聴き慣れた声。
「ミチルさん!」
ミチルは向かいの席に腰を下ろし、前の机にデッキを置いた。
同じくテーブルの上に置いてあったライカの私物に視線を落とす。
チューブ状のそれは、ハンドクリームだ。
この時期…冬場は、とくに手が乾燥する為、ライカはこれを常備している。
「ハンドクリームです。冬は爪先が荒れてしまうので」
カードゲーマーたる者、指はいつも見られるものなのだから、ライカはハンドケアまで欠かさず行っている。
「ふーん…だからライカくんはいつも手が綺麗なんだね。」
チューブに向けていた視線を上げ、目の前の相手に向ける。
1176